【事務職の正社員転職は難しい?】転職事情を経験者210人にアンケート調査

事務職は転職先として人気で、競争率の高い職種として知られています。

そのため「転職で正社員事務職を目指しているが、難しいのでは」と不安になっている人もいるのではないでしょうか。

今回は正社員事務職への転職経験のある210人にアンケートを実施。

「転職で役立ったスキル・資格」や「事務職転職の難易度」について聞きました。

【調査概要】

  • 調査対象:正社員事務職への転職経験のある方
  • 調査期間:2024年8月26日~9月12日
  • 調査機関:自社調査
  • 調査方法:インターネットによる任意回答
  • 有効回答数:210人(女性137人/男性73人)

※アンケートの年齢は、すべて転職当時のものとなっています

事務職への転職時の応募社数は2~5社

事務職に転職した際の応募社数

正社員事務職に転職した際の応募社数を聞いたところ、「2~5社」と答えた人が5割を超えました。

応募1社のみで決まった、もしくは決めた人もいますが、複数社に応募した人が圧倒的に多いとわかります。

事務職は人気のある職種なので、1発で内定をもらえなかった人も多いことでしょう。

また、どうしても行きたい会社がある場合以外は、複数社に応募して面接などで会社や面接官の雰囲気を見る人もいるかもしれません。

事務職への転職活動期間は1ヶ月超3ヶ月以内

事務職への転職活動期間

事務職に転職した際の「転職活動期間」でもっとも回答数が多かったのは「1ヶ月超3ヶ月以内」でした。

半年以上転職活動をした人も複数いたため、平均値は約3.4ヶ月となりました。

なお応募社数と転職活動期間の長さに強い相関関係はありませんでした。

「1ヶ月で20社に応募」と短期間でたくさん応募した人もいますし、「半年で1社のみに応募」という人もいます。

短期間で転職活動期間を終わらせるために同時並行でたくさんの企業に応募する人もいれば、準備に時間をかけてじっくり転職活動を進める人もいると考えられます。

事務職への転職で役立ったスキルは「OAスキル・PC関連資格」

事務職への転職で役立ったスキル

事務職への転職で役立ったスキルの1位は「OAスキル・PC関連資格(74人)」でした。

事務職ではパソコンを使いますので、OAスキルが有利になったと考えている人が多数。

OAスキルを証明する資格としては、「MOS(Microsoft Office Specialist)が有名です。

2位「経理の実務経験・簿記資格(65人)」も多くの票を集めました。

簿記資格・経理の実務経験は、業界・企業を問わず重宝されます。

また、「資格よりも経験が生きた」と答えた人も少なくありません。

中途採用では即戦力を求める企業も多いため、希望する業界・企業で使える事務関連の実務経験があると評価が高まります。

実務経験があれば、資格がなくても「一通りの知識やスキルはあるだろう」と考えられるからです。

ただ「接客業で経験した電話応対を評価された」「営業経験が評価された」という声も。

事務経験がなくても、前職で身につけたスキルをうまく生かして事務職への転職を成功させた人もいるとわかります。

事務職への転職で重視した条件は「希望の給与・賞与」

事務職への転職で重視した条件

事務職に転職する際に重視した条件を聞いたところ、圧倒的1位は「希望の給与・賞与(91人)」でした。

2位「休日数・休みやすさ(55人)」、3位「勤務地・転勤なし(52人)」が続きます。

給与、休日、勤務地などの労働条件を挙げた人が多数。

「希望の業界・職種」もランクインしていますが、6位であり上位と票差もついていることから、「事務だったら業界は問わない」と考えた人も多いと推測されます。

1位 希望の給与・賞与

  • 給与は20万円以上、賞与は4ヶ月分2回(20歳 男性)
  • 給料が手取りで最低30万円以上(30歳 男性)
  • 前職よりも少しでも給与が高いこと(34歳 女性)

1位は「希望の給与・賞与」でした。

前職の給与に不満がある場合には、給与は重要なポイントとなります。

具体的な数字でアップ額を考えた人もいれば、前職より少しでも高くなればいいという人もいました。

また転職では一時的に年収が下がってしまうこともあるため、前職より下がらないことを重視した人も。

「給料と休日のバランス」と答えた人もおり、給与額に対する納得感を大切にしている人もいるとわかります。

2位 休日数・休みやすさ

  • 年間休日が120日以上であること。土日休みであること(28歳 女性)
  • ワークライフバランスが取れるところ。休みやすいところ(29歳 女性)
  • 年間休日が120日以上あること(37歳 男性)

2位は「休日数・休みやすさ」でした。

具体的には「年間休日数120日以上」「土日祝休み」「完全週休二日制」などが挙げられました。

しっかり休みたい、プライベートとのバランスを重視したい、という人が多いとわかります。

事務職であればシフト制でない職場も多いので、「安定して休みたい」「家族と休みを合わせたい」という人も多いと考えられます。

3位 勤務地・転勤なし

  • 勤務地が東京23区内であること(27歳 女性)
  • 地元の企業で転勤がないこと(28歳 男性)
  • 自宅から近いところで、車通勤ができる(40代 女性)

3位は「勤務地・転勤なし」です。

自宅から近く通勤時間が短かったり、通勤便利な場所にある会社を選んだ人が多くなりました。

勤務地を重視した理由としては、「子育て・介護のため」「地元で働きたかった」などが挙げられています。

4位 残業の少なさ

  • 繁忙期以外は残業がなく、定時で帰れること(23歳 男性)
  • 残業が少ないこと(28歳 女性)
  • 夜中まで仕事しない(30歳 男性)

「残業の少なさ」が4位でした。

残業が多すぎると心身が疲弊し、体調を崩してしまう人もいます。

また子育て中で保育園や学童のお迎え時間が決まっていると、残業が多い職場では間に合うかどうか不安になります。

そのため残業の有無や時間を気にする人も多くなりました。

残業があることは許容しているものの、「繁忙期だけ」「多すぎないこと」などを挙げた人もいます。

5位 福利厚生の充実度

  • 福利厚生がしっかりしていること(24歳 女性)
  • 社保完備である(26歳 男性)
  • 社宅もしくは家賃補助がある(30歳 女性)

5位は「福利厚生の充実度」です。

法定福利と呼ばれる社会保険や子ども・子育て拠出金のほか、家賃補助などを求めた人もいました。

「家賃補助」「社員食堂」「資格取得費用の補助」などの福利厚生が充実していると、従業員個人の持ち出しが少なくなります。

また福利厚生が充実していると社員を大事にしているイメージがあるため、福利厚生の充実度を重視している人も多いと考えられます。

6位 希望の業界・職種

  • やりたかった貿易事務であること(23歳 女性)
  • 自分のスキルで対応できる仕事内容(25歳 女性)
  • 営業や現場のヘルプなど、事務以外の仕事をしなくていいこと(45歳 女性)

「希望の業界・職種」が6位でした。

業界や職種を重視して転職活動した人も多数。

語学力を活かせるなど、自分のスキル・適性を活かせることを条件にした人もいます。

また事務職で募集されていても、実際には「事務半分、接客半分」といった業務内容になるケースもあります。

そのため「事務以外の仕事をしなくていい」など、やりたくないことを避けて転職活動した人もいました。

7位 大企業・有名企業である

  • 大きな企業の支社・営業所であること(19歳 女性)
  • 大手であること(35歳 男性)

「大企業・有名企業である」が7位です。

大手企業には、福利厚生が比較的充実している、給与水準が高いなどのメリットがあります。

「倒産の恐れがない大企業」と答えた人もいて、安定性や信頼性に惹かれている人もいるとわかります。

また似た回答で「業界内の有名企業」と答えた人もいました。

国内・世界シェアが高かったり、競争力の高い商品・ブランドをもっていたりなど、会社としての強みを重視する人もいるとわかります。

事務職の転職が難しいと感じた人は53.8%

事務職への転職は難しかったか

最後に、正社員事務職への転職経験のある210人に「事務職への転職は難しかったか」を聞きました。

その結果、「難しかった」「やや難しかった」と答えた人が合わせて53.8%で、半数を超えました。

とくに転職活動期間が6ヶ月を超えた人では、20人中18人が「難しかった」「やや難しかった」と答えています。

「簡単だった」と答えた人の多くは簿記資格・経理の実務経験やOAスキルをもっていました。

一方で同じようなスキルや資格があっても、転職に半年以上かかったり応募社数が多くなったりして、「難しかった」と答えた人もいます。

簿記資格があり、重視条件が「残業少なめのみ」「土日祝休みのみ」など高望みしているとも思えないのに、難しく感じた人も。

上記のことから転職成功においては、資格・スキルの有無だけではなく、「応募先企業が求めているスキルとのマッチ度を高めること」「自分の市場価値を把握すること」が重要だと考えられます。

例えば事務でも経理事務のできる人が欲しいのか、法務事務のできる人が欲しいのかは企業によって違うからです。

また実務経験についても、短すぎると評価されない可能性があります。

ただ「応募先企業が求めているスキル・人材像」「自分の市場価値」については、自分で調べるのが難しいケースも多いです。

そのため応募先の企業や業界に詳しい転職エージェントなどに相談することをおすすめします。

まとめ

正社員事務職は競争率の高い転職先ですが、OAスキルや簿記の知識・経験を武器に転職を成功させた人も多くなりました。

また資格がなくても、「コミュニケーションスキル」や「事務とは違う前職の経験」などを活かし、転職活動を順調に終えた人もいます。

一方で資格があっても、転職活動が長期化して苦しんだ人も。

今回の調査では転職エージェントやハローワーク利用の有無は尋ねていませんが、第三者から冷静なアドバイスを受けることで、転職活動の効率は上がります。

「正社員事務職になりたいけど、転職活動が不安」という人は、一度転職エージェントやハローワークに相談してみてはいかがでしょうか。

また「正社員」ではなく「事務職」によりこだわるのであれば、派遣や紹介予定派遣などで就業開始のハードルを下げるのもひとつの方法です。

紹介予定派遣であれば、一定期間後に正社員・契約社員などとして派遣先企業に雇用されます。