売上などの数字に追われない、ノルマのない仕事を希望している人も多いのではないでしょうか。
今回はノルマのない仕事をしたことがある308人にアンケート実施。
「ノルマに対する考え方」を聞いたところ、「ノルマはないほうがいい」と答えた人が68.5%で多数派という結果に。
ノルマに対して「しんどそう」「強引な営業につながりそう」という、マイナスのイメージを抱く人も多いのかもしれませんね。
ただし「どちらでもいい」という人も24.4%おり、コメントとしては「メリットとデメリットの両方があるから」「人によって向き不向きが違うから」「職種やノルマの内容による」などが挙げられました。
さらにアンケートでは、「実際に経験したノルマのない仕事」や「ノルマのない仕事をしたい理由」などについても聞きました。
- 調査対象:ノルマのない仕事をしたことがある人
- 調査期間:2024年7月17日~31日
- 調査機関:自社調査
- 調査方法:インターネットによる任意回答
- 有効回答数:308人(女性195人/男性113人)
- 回答者の年代:20代 21.8%/30代 39.3%/40代 25.3%/50代以上 13.6%
アンケート結果に対して、株式会社Izul代表取締役の中田潤一氏からご考察いただきました。
【監修者プロフィール】
中田潤一
株式会社Izul 代表取締役
大学卒業後、株式会社キーエンス入社、その後、サントリー株式会社、アリババ株式会社、株式会社リクルート住まいカンパニー(現リクルート)すべてで大手法人営業を務める。2017年、リクルート在籍時に株式会社Izulを買収し、代表取締役社長に就任。他4社の経営に携わる。スキルシェアサービス「タイムチケット」では就職・転職カテゴリーで51ヶ月連続1位獲得、年間約200名のキャリア相談を受ける。
株式会社Izul
「明日に期待して目を瞑る」そのような、毎日を創る。というビジョンのもと、求職者へ伴走型でキャリア支援を行う。求職者の自己分析に始まり、仕事の棚卸しや面接対策など平均15回以上の面談を重ね、エントリーからの内定率は72%(2021年度実績)を誇る転職エージェント。
ノルマのない仕事ランキング
実際に経験したノルマのない仕事を聞いたところ、1位は「事務職(51人)」、2位は「製造・倉庫内作業(28人)」でした。
以下、3位「販売員(26人)」、4位「飲食業(21人)」、5位「医療職・介護職(19人)」の結果でした。
直接顧客と関わらない仕事だと、ノルマは設定されないことが多いです。
販売や飲食でも、お店としての目標はあっても個人ノルマが課されないところは多いようですね。
1位 事務職
- 事務。個人として売上に関わることがないので、プレッシャーなく働ける。ノルマのある仕事に比べて、精神的苦痛を感じることが少ない(30代 女性)
- 事務、経理。売上に対するプレッシャーがない。追い詰められない(40代 女性)
- 総務事務。ノルマはなく、自分のペースで淡々と事務処理できます(40代 男性)
1位は「事務職」でした。
事務職は直接売上に関わることがないので、ノルマを課されることもほとんどありません。
営業部門でも、営業事務であれば売上のノルマはありません。
総務事務・経理事務など顧客と直接関わらない部門を「バックオフィス」や「管理部門」と呼び、社内SEなどの情報システム部門もバックオフィスに分類されます。
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2位 製造・倉庫内作業
- 自動車のバッテリーに使う部品の検査。急かされないので、自分のペースで焦らずできる(20代 女性)
- 倉庫内の仕分け業務。「時間内にできるところまでやればOK」という感じだったのでノルマはなく、精神的に楽だった(30代 女性)
- 1日の仕事量は決まっていましたが、できないときは管理職の人が代わりにやってくれました。自分のペースで仕事ができ、トラブルが起きても焦る必要がありません(40代 男性)
2位は「製造・倉庫内作業」です。
製造現場では1日の生産目標が決められているものの、個人ノルマはないケースが多いです。
ピッキングをはじめとする倉庫内作業でも、「時間内にできるところまで」という働き方が多く、作業量のノルマが課されることはあまりありません。
ただし工場や倉庫でも、周りのペースについていけないと、プレッシャーを感じてしまう可能性はあります。
ノルマがないとしても、一人作業なのか、周囲とペースを合わせる必要があるのかは確認しておいたほうがいいでしょう。
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3位 販売員
- ランドセル販売。ノルマがないので気軽にお客様と話せて、売りつける感なく接客できる。競争がないので、販売員同士の険悪な雰囲気もない(30代 女性)
- アパレルでノルマのある店とない店を両方経験したが、ノルマなしのほうがお声掛け時のプレッシャーが少なかった。そのため気軽に接客でき、お客様の気持ちに寄り添えたと思う(40代 女性)
- スーパーでの栄養ドリンク販売、ショッピングモールでの冷凍食品販売。「売らなければいけない」というストレスからの解放されて仕事できるので、楽しく働ける(50代以上 男性)
3位は「販売員」でした。
販売員はノルマがありそうな職種ですよね。
しかし企業や商品のジャンルによっては、個人ノルマが課されないケースもあります。
正社員にはノルマがあるが派遣社員にはノルマがないという職場も。
ただしノルマはなくても個人や店舗の売上目標は設定されていることが多く、目標達成に向けて努力する姿勢は求められます。
また「ノルマはないがインセンティブはある」というパターンもあります。
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4位 飲食業
- 飲食店でのホールスタッフ。シンプルに働いた分だけ給料になり、頑張った感がある(20代 男性)
- 日々決められたことをしていればいいため、考える必要がない(30代 男性)
- ファミリーレストラン。店長はノルマがあるかもしれませんが、一従業員にはまったくノルマがありません。ノルマに関するストレスがないのはメリットです(40代 女性)
「飲食業」が4位でした。
飲食業では、店舗や店長に対してはノルマを課していることが多いです。
しかしホールスタッフやキッチンスタッフに売上の個人ノルマが課されることは少ないようですね。
店舗や店長に対するノルマについても、現状をしっかり踏まえたうえで、未達時の解決策や改善策を本部が一緒に考えてくれるような体制なら、比較的ストレスも少なく取り組めそうです。
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5位 医療職・介護職
- 介護職。目標数字に対するプレッシャーがありません(30代 女性)
- 交代制なので、次の人にどんどん仕事を手渡していく。「やらなければいけない」というノルマはない(40代 女性)
- 障害者施設での生活支援員。利用者に楽しく過ごしてもらうのが仕事なので、マイペースに仕事できる(40代 男性)
5位は「医療職・介護職」でした。
介護や医療の現場では、受け持つ患者数や利用者数などは割り当てられています。
ただ不測の事態も起こる職場なので、できなかったことは別のスタッフに引き継ぎしたり協力を仰いだりできるでしょう。
一方訪問看護や訪問介護の現場では、スタッフが病院やケアマネージャーに対して利用者を営業活動することもあります。
「介護だからノルマはない」と思っているとギャップに驚くかもしれないので、転職時は「訪問件数や営業件数のノルマがあるか」はチェックしておきましょう。
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ノルマのない仕事をしたい理由5選
「ノルマはないほうがいい」と答えた211人に「ノルマのない仕事をしたい理由」を聞いたところ、ダントツは「ストレスが少ない(124人)」でした。
2位は「質の高い仕事ができる(40人)」です。
以下、3位「職場の雰囲気が悪くならない(13人)」、4位「自分のペースでできる(12人)」、5位「仕事を好きでいられる(6人)」の結果でした。
ノルマがないことによる精神的な楽さを重視している人が多いとわかります。
精神的に楽だからこそ、職場の雰囲気も悪くならず、仕事を好きでいられるのでしょう。
1位 ストレスが少ない
- おっとりした性格のため目標達成することにプレッシャーやストレスを感じてしまうので、心身の健康のためにもノルマなしのほうがいいと感じます(30代 女性)
- ノルマがあるとどうしても人と自分の成績を比較してしまい、精神的に疲れてしまいます(40代 男性)
- ノルマがある仕事は精神的に悩んでしまうし、仕事が終わっても頭を切り替えることが難しい(50代以上 男性)
1位は「ストレスが少ない」でした。
「ノルマ達成のプレッシャーや同僚との競争で、ストレスを抱えてしまう」と感じている人が多数。
ノルマ達成が難しいときに、上司や同僚から「もっと頑張れ」「なぜできないんだ」などと言われて辛い経験をした人もいるのではないでしょうか。
ノルマ達成のプレッシャーが大きすぎ、勤務時間外でも仕事のことを考え続けてしまう人も。
仕事やノルマに支配されているような感覚になり、精神的に追い詰められることもあるようです。
ノルマがなければ、仕事のストレスが少なくなるとは限らないので注意が必要です。
職場のストレスは、人間関係や取引先からのクレーム、業務内容の割に給料が安いなど多岐にわたります。
ノルマのない仕事を選ぶ際は、上記のようなストレス要因がないかもよく確認するようにしましょう。
2位 質の高い仕事ができる
- ノルマがあると、ノルマに縛られて焦りが出てしまい、いい仕事ができなくなるからです(20代 男性)
- 「今日は何個売らなくちゃ!」と考えるので、しつこい接客になってしまい、クレームになりそう。不快な思いをさせて、むしろ「あなたからは買わない」「関わりたくない」と思わせてしまいそう(30代 女性)
- ノルマがあると気ばかりが急いてしまい、丁寧な対応ができなくなってしまう(40代 男性)
2位は「質の高い仕事ができる」です。
ノルマ達成のために焦ってしまうと、質の高い仕事や顧客本位の仕事ができなくなると考えている人も多くなりました。
例えば「数をこなそうとして雑な対応になる」などです。
過度な売上ノルマを課すと、強引な営業が横行する可能性も否めません。
「ノルマが不正につながる可能性もある」と答えた人もいました。
ノルマがない仕事は、プレッシャーや焦りが少ない一方で、目標設定がしにくいため仕事の質が低下してしまうこともあります。
ノルマがあるとプレッシャーを感じる人には、ノルマのない仕事はおすすめです。
しかし、ノルマがないと前向きに取り組めないのであれば、ノルマのある仕事のほうが合っている可能性もあります。
たとえノルマに苦手意識があっても、適性に合った仕事を選ぶことが大切です。
本当にノルマのない仕事がいいのか、自分自身の適性を見極めてみてはいかがでしょうか。
3位 職場の雰囲気が悪くならない
- ノルマのために友達を利用したり、人の足を引っ張ったりする必要がなくなるから(20代 男性)
- 余裕があるので、周りの人にお互い優しくできるから(30代 女性)
- ノルマがあると従業員同士で足を引っ張りあうなど、人間関係がギスギスしそう(40代 女性)
3位は「職場の雰囲気が悪くならない」でした。
ノルマがあり競争させられる仕事だと、職場の雰囲気が悪くなりやすいと考えている人も多いようです。
数字が重視される環境では、自分のノルマを達成するのに精一杯で、周りを気遣えなくなる人もいるのでしょう。
「先輩がみんなノルマ達成に必死で、新人にノウハウを伝えて育てるような雰囲気ではない」という会社もあるようです。
ノルマがあるからこその、職場の雰囲気の悪さもありますが、ノルマがなくても雰囲気の悪い職場はあります。
他にもさまざまな要因によって、職場の雰囲気の悪さは引き起こされるからです。
たとえば、長時間労働や上司が部下を不公平に扱うなどが挙げられます。
ノルマがあることで、仕事が速やかに進み長時間労働が回避されたり、評価基準が明確になることで、不公平な扱いが行われにくくなったりすることもあるでしょう。
もしノルマのない仕事へ転職する場合は、職場の文化や人間関係のトラブルの有無などを確認することが大切です。
職場見学で職場の雰囲気を確認したり、面接時に気になる点を質問したりするなどして見極めるようにしてください。
4位 自分のペースでできる
- ゆとりが出て、自分らしく働ける気がします(30代 女性)
- 何かに追われていると、自分らしさがなくなります(40代 男性)
- 自分のペースで仕事できる。自分の中で目標・ノルマを設定するほうがいいです(50代以上 女性)
「自分のペースでできる」が4位でした。
自分のペースで仕事できると、上司や同僚の顔色をうかがう機会も減ります。
自分なりの工夫を試す余裕もあり、仕事に集中してのびのびと働けるでしょう。
目標なしでダラダラ仕事するのではなく、「自分で目標を決めて、目標に向かって努力する」という人もいました。
自分で目標設定して行動できる人にとっては、ノルマなしのほうが動きやすいのかもしれませんね。
ノルマがないからとマイペースになりすぎるのはよくありません。
仕事の進捗が遅くなると、チームのメンバーや取引先などに迷惑をかけたり、自身の評価に影響したりするためです。
自分のペースで仕事を行う際は、
- 目標を設定する
- 優先順位を明確にする
- 時間管理を徹底する
などを意識するといいでしょう。
5位 仕事を好きでいられる
- 毎月のノルマを達成するためだけに働いている感じがして、仕事が嫌になりそうだから(20代 男性)
- 売上のためにお客様に押しつけがましく商品の案内をしていて、嫌気がさしてしまった(30代 女性)
- 厳しいノルマがあると、達成できなかった場合に評価が下がったり責められたりして、仕事が嫌になりそうだから(30代 女性)
5位は「仕事を好きでいられる」でした。
ノルマのせいでストレスを感じたり人間関係が悪くなったりしては、仕事を好きでいるのは難しいでしょう。
お客様に喜んでほしくて仕事しているのに、ノルマのせいで強引な営業をかけることになってしまうなどすると、罪悪感も抱きそうです。
無理なノルマがある仕事だと、仕事が好きという気持ちを維持できず、長く働くのが難しいのかもしれません。
仕事を好きでいるためには、ノルマ以外の点にも注目しましょう。
ノルマがなくても、仕事のやりがいや働きやすい環境が整っていないと、仕事を嫌いになってしまう可能性もあります。
自分自身が仕事に何を求めるのか、満足度の高い評価や報酬を得られているかなど、定期的に自己評価を行いましょう。
仕事を好きでいるためには、モチベーションの維持も欠かせません。
目標を設定したり、新たにチャレンジしたいことを見つけたりするなど、モチベーションを保つ工夫もしてみてください。
ノルマがない仕事には、「ノルマのない仕事をしたい理由」のようなメリットがあります。
一方でノルマのある仕事にもメリットはあります。
記事の冒頭でも紹介したように、「ノルマに対する考え方」のアンケートでは7%の人から「ノルマはあるほうがいい」との回答もありました。
さらに「ノルマのある仕事をしたい理由」を聞いたところ以下のような結果となりました。
- 日々の成長を実感しやすい。モチベーションを保ちやすい。他人と比べ劣等感を感じることで、成長するエネルギーに変えられる(20代 男性)
- 現実的に難しいノルマは不要ですが、最低限のノルマがないと人は怠けてしまうと思います。作業効率を高めるためにも、最低限のノルマを設定しておくといいと考えています(20代 男性)
- 評価にもつながるので、モチベーションがあがる(30代 女性)
- 1日の目標が明確になり、頑張ろうという気持ちが湧きそう(30代 女性)
- 仕事にメリハリが出る。ノルマ達成によるボーナスやインセンティブが発生するのであれば、モチベーションアップにつながる(40代 男性)
「モチベーションアップにつながる(16人)」という意見が最も多く寄せられています。
ノルマ達成が社内評価や収入アップにつながる場合、仕事へのモチベーションを維持しやすいと考えられます。
ノルマを達成するための試行錯誤が、成長につながることもあるでしょう。
ただしアンケート回答からは「高すぎるノルマや理不尽なノルマは逆効果」という意識も見て取れました。
ノルマのある仕事を選ぶ際は、課されるノルマの内容や具体的な数字を確認し、自分に合った目標か見極めるようにしてください。
調査結果まとめと中田潤一氏からの総括コメントを紹介
以上、調査結果となりますがいかがでしたでしょうか。
まとめますと、バックオフィス部門などノルマがない仕事だと、自分のペースで働けて精神的に楽です。
ただしノルマがない職場でも個人目標を設定することは多く、「会社に貢献しよう」「成長して目標を達成しよう」という姿勢は必要。
あまりにマイペースだと、周囲から浮いてしまったり評価が下がってしまったりすることも考えられます。
ノルマがない仕事でもしんどいことや目標はあります。
またノルマの程度や周囲の協力体制によっては、ノルマがモチベーションアップなどの良い効果を発揮することも。
ノルマがある仕事も検討対象にすれば就職・転職の幅が広がります。
「ノルマがある仕事は絶対嫌」と排除するのではなく、気になった仕事についてはノルマの詳しい中身まで調べてみてはいかがでしょうか。
調査結果に対して、監修者の株式会社Izul代表取締役、中田潤一氏から総括コメントもいただいているので紹介します。
この調査結果から、多くの方がノルマによるストレスを感じていることがわかります。
しかし、ノルマがない仕事を選ぶことが、必ずしもすべての問題を解決するわけではありません。
大切なのは、自分の価値観や強みを活かすことができる働き方と、仕事内容が合致しているかどうかを見極めることです。
もしあなたがノルマのない仕事を希望しているなら、この記事で紹介されたような職種を検討してみるのも良いでしょう。
しかし同時に、ノルマがある仕事にも目を向けて、その仕事があなたにどのような成長や将来の機会をもたらすか考えてみることも大切です。