【聞き上手な人に向いている仕事ランキング】社会人500人アンケート調査

聞き上手な人に向いている仕事ランキングのアイキャッチ

「聞き上手」は立派なスキル・能力で、ビジネスシーンでも存分に活かせます。

ではどのような仕事で聞くスキルが活かせるのでしょうか。

今回は、ご自身を聞き上手だと思う500人にアンケートを実施。

「聞き上手のメリット」や「聞き上手な人に向いている仕事」について聞きました。

【調査概要】

  • 調査対象:聞き上手な人
  • 調査期間:2024年7月12日~23日
  • 調査機関:自社調査
  • 調査方法:インターネットによる任意回答
  • 有効回答数:500人(女性316人/男性184人)
  • 回答者の年代:10代 1.2%/20代 17.6%/30代 36.2%/40代 27.2%/50代以上 17.8%

アンケート結果に対して、株式会社ハピネスワーキング代表で公認心理師の船見敏子氏からご考察いただきました。

【監修者プロフィール】

船見敏子氏プロフィール写真

船見敏子
株式会社ハピネスワーキング 代表
公認心理師

大手出版社で雑誌編集に携わったのち、カウンセラーに転向。全国の企業・団体等でコンサルティング、カウンセリング、研修などを通じメンタルヘルス支援を行う。これまでに約1000社・10万人の支援をしてきた。メンタル不調者を6割減らした実績も。著書に『仕事で悩まない人の相談力』(WAVE出版)など。

聞き上手なことが仕事をするうえでメリットになっている人は95.6%

聞き上手なことは仕事をするうえでメリットになっているか

ご自身を聞き上手だと思う男女500人に「聞き上手なことが仕事をするうえでメリットになっているか」を聞いたところ、「とてもなっている」「まあなっている」と答えた人が合わせて95.6%にのぼりました。

「とてもなっている」と答えた人だけでも半数を超えています。

相手のニーズや本音を汲み取ったり、情報を整理したりする力が、仕事に活かせているとわかります。

就職や転職をするときも、聞き上手はアピールポイントになります。

聞き上手な人が仕事をするうえでのメリットは「人間関係構築に役立つ」

聞き上手な人が仕事をするうえでのメリット

聞き上手な人が実感している仕事をするうえでのメリットの圧倒的1位は「人間関係構築に役立つ(279人)」で、半数以上から票を集めました。

2位「相手のニーズ・本音を把握できる(124人)」も多くの票を集めています。

聞き上手だと相手に好かれやすく、人間関係や信頼関係を構築しやすいため、相手が本音や情報を教えてくれます。

そのため仕事がスムーズに進みやすく、顧客や同僚からの評価が高まったり、営業成績が高くなったりするのでしょう。

1位 人間関係構築に役立つ

  • 相手に「聞いてもらえている」という安心感を与え、良い関係をつくれる(20代 女性)
  • 相手に信頼され、深い話ができる。相手もリラックスして話せる(40代 女性)
  • 上司や部下とのコミュニケーションに役立つ(50代以上 男性)

1位は「人間関係構築に役立つ」でした。

聞き上手な人にはついつい話しかけたり相談したくなったりするもの。

会話することで、人間関係や信頼関係がつくられていきます。

顧客から信頼されれば、顧客満足度の向上にもつながると考えられます。

また自分対相手だけではなく、複数のチームメンバーの間に立ってメンバー同士をつなぐような役割になれば、チーム全体の協力関係づくりにも貢献できるでしょう。

2位 相手のニーズ・本音を把握できる

  • 顧客の意向を汲み取れる(20代 女性)
  • 相手のニーズや本当はどう思っているかを理解する力がある(30代 女性)
  • 相手の困り事を把握できるので、共感やアドバイスをしやすい(50代以上 男性)

2位は「相手のニーズ・本音を把握できる」です。

聞き上手な人は、相手のニーズや本音を把握しやすいという強みをもっています。

ニーズや本音を把握したうえで、「営業や販売の提案」「サービスの提供方法」などに反映すれば、営業成績向上や業務改善につながるでしょう。

同僚に困り事を相談された場合も、ヒアリングによって問題の本質を理解することで、スムーズな問題解決につながると考えられます。

相手から「きめ細かな対応をしてくれる」「相談したら的確に動いてくれる」と感じてもらえたら、信頼や評価につながります。

3位 情報が入ってきやすい

  • 相手にとって話しやすい存在になり、情報が集まりやすくなる(30代 男性)
  • 聞き上手だと、いち早く情報を得られることがあります。情報をもとに作業効率が上がったり、今後の傾向を分析して対策したりできます(40代 女性)
  • いろいろな情報を得られる(50代以上 男性)

3位は「情報が入ってきやすい」でした。

聞き上手な人のところには、たくさんの人が話しかけにきます。

商談や相談、雑談の中で、知らなかった情報をつかむこともあるでしょう。

中には「相手が勝手に、こちらにとって有利な情報を話してくれる」というコメントもありました。

情報が集まってくることで、トラブルを回避しやすくなったり、商品やサービスに活かせたりすると考えられます。

4位 仕事がスムーズに進む

  • 相手の考えや意見をしっかりと聞き取れるため、仕事のミスが少ない(20代 女性)
  • 問題解決までの道のりを最短でいける(30代 男性)
  • 仕事の人間関係がギクシャクしないため、業務がやりやすい(40代 女性)

「仕事がスムーズに進む」が4位でした。

カウンセラーやカスタマーサポートといった人の話を聞くことが大きなウエイトを占める仕事なら、聞き上手が仕事のスムーズさに直結します。

また聞き上手だと人間関係が円滑で、困ったことがあっても周囲に頼って乗り切れるかもしれません。

顧客と信頼関係を築くことで、ミスや失敗が大事にならないケースもあるでしょう。

5位 成績・評価につながる

  • お客様との会話から要望を汲み取ることで、リピーター獲得につながる(20代 男性)
  • お客様の愚痴を聞き、信頼されて、商品購入につながっている(30代 女性)
  • 相手から話しやすいと思われるので雑用などの仕事も振られる一方、売り上げにつながる仕事ももらえて仕事の幅が広がる(40代 男性)

5位は「成績・評価につながる」でした。

顧客と信頼関係を構築し、契約をもらえたりリピーターになってもらえたりすることも。

上司や同僚に信頼されることで、任される仕事の幅が広がって、結果として社内評価が高まることもあるでしょう。

なかには「特別なことをしなくても評価される」というコメントもありました。

聞き上手な人に向いている仕事1位は「カウンセラー・相談員」

聞き上手な人に向いている仕事

聞き上手な人に向いている仕事として最も多かった回答は「カウンセラー・相談員(158人)」でした。

2位「営業職(113人)」、3位「接客業・サービス業(95人)」と続きます。

相手の話を聞く仕事や、相手のニーズを汲み取る仕事が多数ランクイン。

介護・医療や教育分野など相手の人生や身体に深く関わる仕事でも、聞き上手を活かして相手からの信頼を得ることで、仕事がスムーズになったり仕事の目的を果たしやすくなったりすると考えられます。

1位 カウンセラー・相談員

  • 人の本心を優しく引き出せるので、相談した人も無理やり喋らされている感覚になりにくいと思います(30代 女性)
  • 中学校や高校のスクールカウンセラー。思春期の多感な子どもたちの思いを受容することで、彼らの自己肯定感を高めたり、悩みを軽減したりできるから(40代 男性)
  • 相手が発する一言一言の細かな部分までを聞き取り、心情を理解しつつ向き合い寄り添うことが必要な仕事だと思うので(50代以上 女性)

1位は「カウンセラー・相談員」でした。

カウンセラーや相談員の仕事には、人の話を聞く傾聴力が必要です。

そのため聞き上手な人が活躍できる仕事だと考えられます。

医療機関のほか、学校や福祉施設、企業などでもカウンセラーや相談員が活躍しています。

資格がなくても心理カウンセラーにはなれますが、国家資格である公認心理士や、臨床心理士の資格を取得するとより信頼されやすいでしょう。

2位 営業職

  • お客様のニーズをしっかり聞き出し、御用聞き営業ではなくコンサルティング営業ができる(20代 女性)
  • 相手のニーズに最適なものを紹介でき、成約率も高いと思うから(30代 女性)
  • 顧客のニーズや希望をしっかりと聞き取ることで、相手に合った商品やサービスを提案でき、信頼関係を築きやすいから(40代 男性)

2位は「営業職」です。

お客様が「買いたい」と思う商品を提案するには、まずお客様のニーズを把握する必要があります。

ニーズや本音を把握できれば、お客様が「ほしい」と思える商品を提案できるでしょう。

また提案型営業(コンサルティング営業)や無形商材の営業では、お客様の納得感を高めるため、高いニーズ把握力が求められます。

聞くだけではなく、ニーズを商品・サービスや営業トークに反映させるアウトプットも必要になります。

3位 接客業・サービス業

  • ホテルなどの接客業。「自分の話を聞いてほしい。要望を聞いてほしい」というタイプのお客様も多いため、聞き上手だとうまく話を聞いて流しているだけで解決することがある(20代 女性)
  • 接客業の中でも、エステティシャンやネイリストなど、接客時間が長い仕事。聞き上手な人のほうがリピート率も高まると思います(30代 女性)
  • 要望を聞きながら、時間をかけてお客様と一緒に商品を選ぶと、喜ばれるから(40代 男性)

3位は「接客業・サービス業」でした。

販売職であれば、営業職と同じくお客様のニーズを把握したうえで商品を提案する力が必要です。

ただし提案力をあげるためには、聞く力だけではなく商品知識なども欠かせません。

セラピストやエステティシャンであれば、お客様の話をじっくり聞いて信頼関係を築くことで、リピートやクロスセル・アップセルにもつながるでしょう。

「実際にホテルで働いていて、聞き上手が役立った」という体験談も寄せられています。

4位 医療系専門職

  • 看護師。病気で苦しんでいる患者さんは、自分の話を聞いてほしい人が多いから。「話を聞いてくれるだけで救われる」と感じる人がたくさんいるから(20代 男性)
  • 患者さんの不安に寄り添えるから(30代 女性)
  • 緊急性の高い場合も多いので、5W1Hを的確に収集するには聞き上手であることを役立つと思う。また相手に話をさせることが、相手を落ち着かせる効果もある(50代以上 男性)

「医療系専門職」が4位でした。

医療関係者が的確に話を聞くことで、患者さんの症状や痛みについて把握できます。

医師や看護師に話を聞いてもらうことで気持ちが落ち着いて不安が軽くなると感じる患者さんや家族も多いでしょう。

患者さんや家族の認識が間違っていても、遮らずにまずは最後まで話を聞く態度が、「しっかり話を聞いてもらった」という印象になり、信頼関係につながります。

患者さんが症状を伝えやすくなるように、上手に質問する力も必要でしょう。

5位 コールセンター・カスタマーサポート

  • クレーマーには「ただ話を聞いてほしい人」が多くいる印象なので、聞き上手であれば相手に対して否定的なことをしないので、向いているのではないかと思います(30代 男性)
  • コールセンターの仕事など、クレーム処理やお客様問い合わせ。相手の言い分を聞くことが重要なので、聞き上手な人に向いていると思います。クレーム対応は大変ですが、やりがいはあるかなと思います(40代 男性)
  • クレーム対応時に、まず聞くことが重要だと思うので(50代以上 女性)

5位は「コールセンター・カスタマーサポート」でした。

架電ではなく、受電するほうのコールセンターについての回答が寄せられました。

コールセンターやカスタマーサポートでは、主に電話やメールでお客様からの問い合わせやクレームに対応します。

顔が見えないやりとりなので、お客様の本音やニーズが伝わりにくいこともあるでしょう。

しかし聞き上手な人であれば、落ち着いて相手の話に耳を傾けられると考えられます。

しっかりと話を聞き、理解を示すことで、クレームを入れてきたお客さんの感情が収まることもあります。

6位 福祉・介護職

  • ケアマネージャーや相談支援専門員。相手の困り事を聞いて、相手のニーズを判断していくから(30代 男性)
  • 利用者さんの話を聞くことから信頼関係が生まれます。そして利用者さんのことを知ることで、より良い支援につながるからです(30代 女性)
  • 介護の仕事は聞き上手な人が重宝されます。高齢者は相手の話を聞きたいわけではなく、自分が話をしたいので、介護職が聞き手に徹することにより、身体の不調や本心からの訴えを聞き出しやすくなります(40代 男性)

6位は「福祉・介護職」でした。

介護の現場では、介護職と利用者とのコミュニケーションが大切。

通常、コミュニケーションの基本になるのは会話ですので、聞き上手が利用者さんとの関係構築に役立ちます。

言葉が聞き取りにくかったり同じことを何度も繰り返されたりしてもイライラしないで聞ける人なら、信頼関係を構築しやすいのではないでしょうか。

ソーシャルワーカーなど相談業務が多い福祉系の職種でも、聞き上手が活かせます。

7位 教育関連

  • 子どもや保護者の意見や気持ちに耳を傾けて、意見をもとに工夫しながら仕事をすることで、質の良い保育や教育を提供できるから(20代 女性)
  • 日本語教師。日本語がまだあまり得意でない学習者も多いので、聞き上手な人が先生であれば間違うことを恐れず会話してくれるから(30代 女性)
  • 「家庭環境」「学力」「思春期」などの悩みを抱えている生徒と向き合えるのは、人の話をしっかり聞ける聞き上手な人だと思います(40代 男性)

7位は「教育関連」です。

教員や講師は、生徒・受講生や保護者からの相談や質問を受けることが多いですね。

そのため相手の話をよく聞いて、求められているアドバイスができる人に向いていると言えます。

学習面でのサポートはもちろん、精神面でのサポートでも、聞き上手が役立ちます。

8位 管理職

  • どの職場でも、管理者が聞き上手であれば雰囲気が良い環境になる(30代 男性)
  • 部下の信頼を得られる(40代 女性)
  • 部下の話を聞いて、問題点をあぶりだせる(50代以上 男性)

8位は「管理職」でした。

聞き上手な上司だと、部下は上司に対して「話をきちんと聞いてくれる」と信頼を寄せます。

上司に対して委縮しにくくなるので、ミスを隠したり報告が遅れたりといった、トラブルにつながる行動が減るのではないでしょうか。

上司が聞き上手だと、部下の成長にもつながりそうです。

部下からの評判がよくなり、社内で慕われる存在になると、指示に素直に従ってもらえる可能性も高くなるでしょう。

9位 コンサルタント

  • 相手のニーズを限られた時間で読み取れるから(20代 女性)
  • 相手が困っていることをしっかり理解し、アドバイスできるから(30代 男性)
  • 相手から話を引き出すことが仕事だから(40代 男性)

「コンサルタント」が9位でした。

どの分野のコンサルタントであれ、ヒアリングによって顧客が抱える問題を把握する力が必要です。

ニーズの把握や整理がうまくできないと、提案が見当はずれなものになってしまいます。

深く聞き取りを行い、顧客自身がはっきりと認識できていなかった問題まで把握できれば、より質の高い提案ができ、他社・他コンサルタントと差別化できます。

「実際にコンサルタントとして働いていて、聞き上手が役立った」「周りを見ていると、聞き上手な人ほど成果を出していた」という体験談もありました。

10位 窓口・受付

  • 銀行の窓口テラー。お客様が行いたい手続きを瞬時に理解できるので(30代 女性)
  • 相手の話をよく聞いて、的確にきちんと対応できると思うから(50代以上 女性)

10位は「窓口・受付」でした。

窓口・受付は企業の顔となり、対面で来客や見込み顧客に対応する仕事です。

お客様が抱えている問題やニーズを素早く把握し、解決策を提示したり的確な案内を行ったりするためには、聞く力が必要です。

聞く力のほか、企業によっては「おもてなし精神・ホスピタリティー」や「語学力」なども求められるでしょう。

まとめ

聞き上手はカウンセラーや営業職など、多くの職種で活かせます。

また「職種問わず、人と関わる仕事やマネジメントで活かせる」という声もありました。

ただし聞き上手の人は「聞いているだけの人」「自分の意見を言うのが苦手な人」にならないよう、注意が必要。

「汲み取った相手のニーズを商品やサービスに反映させる」「聞き取った意見をもとに業務改善する」などのアウトプットも積極的に行うのが、仕事で評価されるコツです。

船見敏子氏プロフィール写真
船見敏子氏からの総括コメント

話を聞くとは、相手が伝えようとしている世界観を、一緒に体験するかのごとく理解すること。受け身ではなく、相手の言葉を伝え返したり質問をしながら、積極的に聞くのがポイントです。

人は、自分を理解してくれる人に心を開きますから、聞き上手は信頼関係を構築しやすいのです。ですから、聞く力は、対人の仕事には欠かせないと言えます。

また、相手を深く理解すればニーズ、思いを受け取ることができるので、仕事がスムーズに運ぶようにもなります。職場内の人間関係構築にも役立つので、すべての人が身につけておきたいスキルです。互いを尊重し、気持ちのいい関係をつくるために、聞く力を活用してください。