「なかなか仕事を覚えられない」「覚えたつもりなのにすぐ忘れてしまう」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
仕事をすぐ完璧に覚えられる人は少ないので、焦る必要はありません。
社会人の男女500人に「なかなか仕事を覚えられないと感じることがあるか」の独自アンケートを行った結果、「たまにある」「頻繁にある」と答えた人が合わせて81.2%となったからです。
仕事を覚えるときに「難しい」「なかなか覚えられない」と感じている人が多いとわかります。
例えば転職したばかりや、異動して新しい業務を覚える必要がある場合には、仕事の手順を覚えるのが難しいと感じることも多そうですね。
職場ごとの「仕事を覚える目安の期間」よりも長くかかってしまうと、プレッシャーを感じる人もいるでしょう。
上記以外にも、男女500人に「仕事を覚えられない原因」や「覚えるための工夫」についても質問、回答いただいております。
アンケートの調査結果から「あなたが実践できそうな工夫」を見つけて、参考にしてみてください。
- 調査対象:社会人の男女
- 調査期間:2024年6月20日~26日
- 調査機関:自社調査
- 調査方法:インターネットによる任意回答
- 有効回答数:500人(女性324人/男性176人)
- 回答者の年代:10代 0.6%/20代 18.6%/30代 39.2%/40代 25.0%/50代以上 16.6%
アンケート結果に対して、株式会社マイスタースタジオの二宮悠実氏から監修者としてアドバイスをいただきました。
株式会社マイスタースタジオ人事部長
二宮悠実氏
子育て中の主婦で未経験から採用マーケッターとして入社し、現在は人事部長を務める。自身と同様に子育て中の主婦が「やりたい仕事」「短い時間で満足な収入」「社会貢献」を実現できる職場づくりを実践し、無名の同社採用部門が年間7千名を超える応募を得るまでに成長させた人事採用の専門家。
みん評やソーシャルグッドリンクなど様々なサービスの次期リーダーを採用・育成することを目指す。
仕事を覚えるための工夫ランキング
仕事を覚えるための工夫1位は「メモする(275人)」で、回答者の半数以上を占めました。
2位「繰り返す/復習する(128人)」も100人以上から票を集めています。
忘れそうなことをメモし、メモをもとに復習したりマニュアルをつくったりしている人も多いようです。
忘れっぽい人が仕事を覚えるための基本は、「メモ」と「復習」だと言えるでしょう。
仕事する中でわからないことをメモしておき、まとめて上司や先輩に質問することも可能です。
【1位】 メモする
- できるだけ手帳などに書いたり、スマホでスクショを撮ったりしている(20代 男性 板金・塗装)
- 紙とエクセルにメモする。スクショをとる(30代 女性 コンサル会社の事務職)
- 教わったことをノートにまとめる(40代 女性 製造業の技術職)
1位は「メモする」でした。
質問したり説明を受けたりしたときに、忘れないようにメモをする人が多数。
あとから見返せるのはもちろん、手を動かしてメモを書くことで記憶しやすくなる効果もあります。
声に出すと覚えやすいという理由で、メモをとるときに復唱している人も。
メモを取れない状況のときは、写真やスクリーンショットで記録しておくのもよいでしょう。
よく発生する仕事の手順については、付箋に書いてデスク周りに貼っておく人も多いようです。
【2位】 繰り返す/復習する
- 退勤後に、覚えたことを復習する(20代 女性 保育士)
- とにかく反芻すること。「書いて覚える」「復習して覚える」など(30代 女性 フリーランスのデザイナー)
- 完璧に覚えるまで、失敗しても気にせず何回も同じ作業を繰り返します。失敗しても諦めず何回も同じ作業を繰り返すことで、仕事を覚えるようにしています(40代 男性 建設業の内装工)
2位は「繰り返す/復習する」です。
覚えにくい仕事や新しい仕事を反復学習する人も多数。
何度も繰り返していると作業を覚えやすくなり、「意識しなくてもできるようになる」「身体が仕事を覚える」という域に達することも。
実際にやってみるのが難しくても、「仕事に帰ってからメモを清書する」「イメージトレーニングする」などの方法で復習できます。
復習することに加え、「また同じ業務が発生する前に、メモを見返すなどして予習する」という人もいました。
【3位】 わからないことは質問
- わからないことは何でも聞く(20代 男性 精神保健福祉士)
- 疑問点をすぐに弁護士や役所に確認する(30代 女性 法律事務所の事務)
- わからないことをわかったふりしてスルーしないこと。徹底的に聞きまくる(50代以上 男性 メーカーの営業・マーケティング)
3位は「わからないことは質問」でした。
仕事内容をきちんと理解できていない状態だと、正確に覚えられません。
そのため疑問に思ったことはそのままにせず、積極的に質問するという人も多くなっています。
ただ何度も同じことを聞くと、上司や同僚に「何度言っても覚えない」と思われてしまうことも。
聞いた内容はメモをして、何度も同じことを聞かないようにしておきましょう。
「まずは自分で調べてみて、わからないところやどうしても不安なところだけ質問する」という人もいました。
【4位】 自分なりのマニュアルをつくる
- 自分なりの手順書を作成する(20代 女性 看護師)
- 仕事の流れを記載し、どのタイミングで何をするのかを書き込んでいる(30代 男性 福祉の支援業務)
- 一度教えてもらったことを、ひな型として常に手元に置いておきます(40代 男性 建設業の事務)
4位は「自分なりのマニュアルをつくる」でした。
「職場にマニュアルがない」「職場のマニュアルがわかりにくい」などの理由で、自分なりのマニュアルをつくっている人もいます。
マニュアルをつくっておけば、忘れやすい手順を何度でも見返せて便利。
また「職場に新人さんが来た際の指導」「異動になった場合の引継ぎ」にも役立てられるでしょう。
マニュアルをつくることで業務への理解も深まりそうです。
【5位】 まずやってみる
- まずは率先してやらせてもらう(20代 女性 飲食店のキッチン)
- いろんな方法を試す(40代 女性 工場内のピッキング)
- 見てるよりもやらせてもらう(50代以上 女性 介護職)
「まずやってみる」が5位でした。
教えてもらったことや注意されたことをすぐ実践したり、率先して動いたりするようにしている人が多数。
経験を積むことで仕事を覚えやすくなりますし、同僚や上司からも評価されやすくなるでしょう。
自分なりの工夫を加えて実践することで、従来のやり方より効率的に仕事できる可能性もあります。
個人のできる工夫としては、これ以上なく素晴らしいと感じます。
ただし、個人の努力だけに頼るのではなく、会社としてできる限りシンプルな仕組みにすること・非効率な仕事をなくすことは義務と言っても過言ではありません。
「覚える」仕事が多ければ多いほど、新たなものを生み出す創造的な仕事はやりにくくなってしまいます。働く人が興味を持って面白い仕事に取り組めるように経営者も工夫が必要です。
仕事を覚えるための工夫で多かった「メモする」ですが、ただメモするのではなく、後から見返してもわかりやすいように意識して書くのがポイントです。
業務内容や仕事の手順を思い出せないとき、メモを見てもどこに何が書いてあるのかわからなければ、メモする意味がありませんよね。
また、今回ランクインした「復習する」「自分なりのマニュアルをつくる」際にもメモは役立ちます。
後から見直してもわかりやすいメモの取り方のコツは次のとおり。
- 業務内容ごとに見出しをつける。
- いつ教えてもらった内容かわかるようメモした日付を書く。
- びっしり書き込まず余白を残して、コメントや修正内容を追記できるようにしておく。
- 重要ポイントやキーワードは赤で書くなど色わけする。
早く仕事が覚えられるよう、メモする際は取り入れてみてくださいね。
仕事を覚えられないと感じる原因ランキング
仕事を覚えられないと感じる原因の1位は「覚えることが多い(119人)」でした。
2位「仕事への興味が薄い(87人)」、3位「仕事が難しい・複雑(71人)」、4位「仕事に慣れていない(62人)」が続きます。
回答内容は大きく分けて「仕事の環境」と「個人的な事情」の2パターンになりました。
記憶力が低下しているなどの個人的な事情だけではなく、「どんな仕事をしているのか」「効率的に仕事を覚えられる環境なのか」なども重要だとわかります。
【1位】 覚えることが多い
- 覚えることが多すぎる(20代 男性 介護用品の卸業者)
- 仕事内容や進め方・マニュアルが頻繁に変わるため、せっかく覚えたものも新しく覚え直す必要があるため(30代 女性 オンライン配信サービスの販売営業アシスタント)
- 日々忙しすぎて、振り返る時間がない。新しく覚えるべきことが積み重なっていき、追いつかない(40代 女性 デイサービスの介護職)
1位は「覚えることが多い」でした。
覚えることが多すぎると、こんがらがってしまう人も多いのではないでしょうか。
覚えることが多い理由としては、「業務量が多い・業務範囲が広い」「マニュアルやシステムが頻繁に変更される」などがあります。
同じ業務でも、顧客や利用者に合わせてやり方が変わるため、いろんなパターンを覚える必要があるといったケースもあるでしょう。
仕事量や覚えることが多すぎて、頭の中を整理する時間がない人も多いようです。
【2位】 仕事への興味が薄い
- 今の仕事にあまり興味がないので、最低限しか覚えようと思わないです(20代 女性 飲食店のキッチン)
- 車とか重機に興味がないので、なかなか理解できないし覚えられない(30代 女性 重機関係の事務)
- 「興味がないこと」「業務上の必要性を感じないこと」については、極端に学習効率が落ちる(40代 男性 フリーライター)
2位は「仕事への興味が薄い」です。
やっている仕事に興味がないと、「仕事を覚えよう」「勉強しよう」という気持ちになりにくいですよね。
「覚える気がない」とも言い換えられます。
「憧れの企業に入社したものの、希望と違う部署に配属された」「就職先がなかなか決まらず、妥協して入社してしまった」などの場合には、やる気が起こりにくいのではないでしょうか。
【3位】 仕事が難しい・複雑
- そもそもの仕組みが複雑(20代 女性 アパレル関係の事務)
- 難しい技術用語がたくさんある(30代 女性 製造業の通訳)
- 建築や電気など、専門的な知識が必要になる(40代 男性 小売の店舗設備管理)
3位は「仕事が難しい・複雑」でした。
例えば仕事について説明されても、説明に使われている専門用語を理解できていないと、なかなか頭に入りません。
仕事のやり方を覚える以前に、言葉の意味を理解する必要があるからです。
操作が難しい機械や複雑な書類などを扱うときに苦労する人も多いでしょう。
また仕事の手順が複雑な場合、各手順の必要性や意味を理解していないため、覚えにくくなってしまう人も多いようです。
【4位】 仕事に慣れていない
- 年に一度しかないような仕事は、頻度が少ないので忘れてしまっている(20代 女性 高校の教員)
- 未経験からのスタートで、不慣れなことが多いため(30代 女性 ゴルフのキャディ)
- あまり経験のない仕事だと、少し難しい場合がある(50代以上 男性 メーカーの営業・マーケティング)
4位は「仕事に慣れていない」でした。
具体的には「未経験の仕事に就いた」「新しい業務を任された」「使うシステムが変わった」などです。
新しいことをいきなり完璧に覚えられる人は、ほぼいないでしょう。
また、たまにしか発生しない仕事だと覚える機会が少なく、一度覚えても実践する機会が少ないため忘れてしまいがちです。
頻度が少ない仕事や作業については無理に覚えようとせず、「マニュアルを見ながらやればいい」と割り切るのも良いのではないでしょうか。
【5位】 加齢のせい
- 年齢的に、記憶力の衰えを感じています(40代 女性 フリーランスのデザイナー)
- 年齢のせいかなと感じます。20代のころと違い、最近では新しいことを覚えるのに苦労するからです(40代 男性 看護師)
- 年齢的なものが大きい。コンピュータ業界は常に新しい技術を仕入れる必要があるものの、若い後輩たちに比べて柔軟性がなくなり、知識の吸収力が落ちてきていると感じる(50代以上 女性 IT企業のソフトウェア開発エンジニア)
「加齢のせい」が5位でした。
年齢とともに記憶力は低下していくため、とくに40代以上からの回答が多くなりました。
若いころはあまり苦労せずマニュアルや新しい知識が頭に入ったのに、年齢を経るごとに覚えられなくなったと感じている人も多数。
仕事や家庭でのストレスなどから仕事への意欲が低下して、記憶力や理解力に悪影響を及ぼすこともあります。
【6位】 説明・教育が不十分
- 上司の教え方がわかりにくいから(30代 男性 産業用電気機器の製造)
- 職場に「見て覚えろ」という職人気質の人しかいない。見るだけではわからないので、なかなか覚えられない(40代 女性 スーパーの水産)
- 手順を細かく教えてもらえない。質問しても的確な回答がもらえない(50代以上 女性 介護職)
6位は「説明・教育が不十分」でした。
「体系的な教育・研修システムがない」「マニュアルがない」などの回答が寄せられました。
新しい会社や人手不足の職場などでは、教育体制が不十分になりやすい傾向があります。
研修やマニュアルなどが整備されていないと、仕事を効率的に覚えるのは難しいですよね。
また「見て覚えろ」「習うより慣れろ」という社風だと、「とりあえず仕事をこなしているけれど、やり方は合っているのかな?」と不安になる人も多いでしょう。
先輩たちに仕事を教えてもらってはいるものの、聞く相手によって指導内容が変わり、混乱している人もいました。
【7位】 記憶力が悪い
- メモをとっても忘れてしまう(20代 女性 飲食店自営業)
- 記憶力が悪く忘れやすい(30代 女性 ファッションマーケティング)
- 物覚えが悪い(40代 男性 建設業の内装工)
「記憶力が悪い」が7位でした。
年齢に関係なく、もともと覚えるのが苦手な人もいます。
「記憶するときにイメージ化する」「しっかり理解してから覚える」などと工夫すると、覚えやすくなるのではないでしょうか。
どうしても覚えられない場合は、頭で覚えることを諦めて、メモやマニュアルを持ち歩くのもひとつの方法です。
仕事を覚えられない原因を2つに分類すると、現代の仕事内容の高度化、複業の増加がよく表れています。この2つの相乗によって、益々仕事を覚えるハードルは上がっていくでしょう。
これから転職などで新たな仕事を始めてみたいものの、仕事を覚える自信がない人は、「業務量」「仕事の難易度」「教育体制」をチェックした上で検討してみてはいかがでしょうか。
難易度の高い仕事で業務量が多いにも関わらず、教育体制が整っていなければ、仕事を覚えるのが苦手な人にとってはハードルが高いからですね。
加齢で記憶力が悪くなっていて不安という人は、複雑でない単純ワークなどを選ぶのもいいでしょう。
もちろん働いてみないと業務量や仕事の難易度がわからないこともあります。
はじめは「業務量が多そう」「仕事が難しそう」と思っていても、慣れれば意外とこなせることもあるでしょう。
仕事を覚えるための工夫ランキングの調査結果まとめ
仕事をなかなか覚えられない理由としては、「覚えることが多すぎる」「仕事に興味がなく、覚えようと思えない」などが挙げられました。
就職・転職・異動したばかりだと一気に覚えることがたくさん出てくることもありますし、希望に合わない部署に配属されることもあります。
上記のような場合にできる工夫としては、「メモをとる」「繰り返し練習する」などがあります。
メモする意欲が湧かない場合には、「仕事の目的を理解する」「仕事のおもしろいところを見つける」といった方法も試してみてください。
また、睡眠不足や人間関係の悪さなどが原因で仕事を覚えにくくなることもあるので、体調管理や気の合う同僚を見つけることも重要でしょう。
「業務がどうしても性格・能力に合わない」「やりがいを感じなくて覚える気にならない」という状態が続くなら、部署異動や転職を検討するのもひとつの方法です。